2004年1月11日(日)13:27

EU憲法の早期合意は見込み薄

フランクフルト・アム・マイン(AP)

将来のEU憲法をめぐる論争が早期に歩み寄りを見せる気配はない。ポーランドのアレクサンデル・クファシニェフスキ大統領は『シュピーゲル』誌に、「合意の最初の前提は、私たちが互いにもっと信頼し合うことだ」と述べた。クファシニェフスキ大統領と同様、欧州委員会のギュンター・フェアホイゲン拡大担当委員も今週末、憲法制定の努力が水泡に帰せば、その帰結として二つの速度のヨーロッパが生まれると警告した。一方トルコのタイップ・エルドアン首相はEU加盟交渉開始の期日を設定するよう強く求めた。

クファシニェフスキ大統領はインタビューの中で、もはやEU憲法の早期合意を見込んでいないと明言した。信頼構築が鍵だ。「そうなれば歩み寄りも得られよう」、と大統領は語った。しかしドイツ・ポーランド関係が深刻に悪化する危険性は認めなかった。両国の融和はとうの昔からの現実だ。「今や私たちの協力はルーティン化している」と大統領は述べた。

どこに歩み寄りの可能性があると考えるかとの問いに、クファシニェフスキ大統領は、ニース条約に沿ってドイツの票配分を増やすのは、ポーランドにはさほど問題ではない。私は両国が必ずや妥協点を見出すものと確信している。だが議論が進むうちに対立が硬直してしまっている、と述べた。「ヨーロッパが冷静に考える時間を必要とするなら、それはまさに今だ」と大統領は結論づけた。

フェアホイゲン拡大担当委員は日曜日ドイツ放送 Deutschlandfunk で、二つの速度のヨーロッパを求める意見に反対の意向を表明した。同委員は、欧州統合の王道はたとえ少しばかり時間が余計にかかろうとも、すべての国が共に歩むことである、と述べた。「私はいつも、わずか数ヶ国が速やかに前進するよりはすべての国がゆっくりと前進する方を好む」と社会民主党所属のフェアホイゲン委員は付け加えた。

欧州憲法をめぐる論争が合意に至る見通しについて、フェアホイゲン委員は悲観的な意見を述べた。ポーランド政府には「いまだ何ら動きが見られない」。今年中の合意は可能ではあるが、目下のところその保証はまったくない、と委員は語った上で、まずは議長国アイルランドにすべてをまかせて、「危機を脱する道があるかどうかを調べてもらう」のが良いと忠告した。

フェアホイゲン委員はトルコのEU加盟については楽観的な見通しを示したものの、今後10年以内に加盟を果たすことはありえないと強調し、欧州連合はその準備ができていないと述べた。欧州委員会は2004年の秋にトルコ政府と加盟交渉を開始するか否かを決定する意向である。フェアホイゲン委員は、トルコの前進は「著しく」、これは「何らかの形で」今年末の決定に肯定的に反映されねばならない、と述べた。トルコのEU加盟問題を数ヵ月後の欧州議会選挙の争点にすることについても委員は「適切である」と述べた。

トルコのエルドアン首相は、同国のEU加盟に対するドイツ野党の反対論を意に介すそぶりを見せなかった。「もちろん私にとっては、現在政権についている人々の発言の方が重要である」と首相は『ヴェルト日曜版』Welt am Sonntag 紙に語った。「私たちは加盟協議開始の期日の設定を望んでいる」。ヨーロッパにおける「文明の衝突」を避けるために、トルコの加盟はきわめて重要である。「これはもはや後退がありえない道なのである」、と同紙はエルドアン首相の発言を引用している。

原題:Wenig Chancen fuer baldige Einigung ueber EU-Verfassung




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